「儲ける」「稼ぐ」について

 

食育や農業の世界のかなりの部分で、「儲ける」「稼ぐ」という言葉は悪徳のような扱いを受けています。

(医療や介護の世界でもそうですが)

 

儲ける、稼ぐという言葉が出たその瞬間に、

「拝金主義だ」

と言い出す人もいれば

「自分は金儲けのために仕事をしているのではない」

という自己防衛的な反応をする人もいる。

 

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「儲ける」「稼ぐ」という言葉に抵抗感があるのは理解できます。

しかし、その感情を少しおさえて、「利益」について冷静に考えてみる必要があります。

 

利益を上げるのはそんなに悪いことでしょうか。

そもそもなぜ、「儲ける」「稼ぐ」ことに悪い印象がつきまとうのでしょうか。

 

それは利益を上げることそのものに問題があるのではなく、

  • 利益のあげ方
  • 利益があがった後のお金の使い方

に対する印象が悪いのではないでしょうか。

 

利益があがることは決して問題ではありません。

利益があがるということは、そもそも顧客が満足していることの立派な証拠です。

正当に利益があがったことは、胸を張って自慢できることなのです。

 

顧客が満足した結果、得られた利益を、何に使うのか。

  • もっと多くの顧客に喜びを伝えるために事業を拡大する。
  • 社会活動を支援するために使う。
  • 助けてくれた人に恩返しをする。

こうしたことに真剣に取り組めば、利益は生きてきます。

 

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ある社長さんがこんなことを言いました。

「自分が事業をするのはお金のためではない。自分は普通の生活ができればいい。年収も300万円あればいい。お客様の笑顔を見ることができれば、それでいいのだ。利益はいらない。だから価格も低く設定できるし、それが自慢だ」

清らかな話に聞こえます。

 

しかし、ある面で、自分のことしか考えていないとも言えます。

 

「社長の気持ちは分かりました。でも、それであなたと一緒に働いているスタッフは幸せですか? 働いている彼らの後ろに

何人の家族がいるのか、思いを巡らしたことはありますか? もちろん、お客様の笑顔は大事です。ですが、お客様の笑顔と、スタッフの幸せを、両立させるために本気で考えたことがありますか?」

「…」

「利益を重視しなかった結果、もし経営が苦しくなり、事業が続けられなくなったらどうしますか? あなたのお客様は、あなたの会社のサービスをとても喜んでいる。つまり、あなたの会社がしっかり存続することを望んでいるはずです。安心して存続するためのコストを、お客様は喜んで払ってくれるのではないですか?」

「…」

「社長が年収300万円でいい、という気持ちに嘘はないと思います。ならば、1000万円稼いで社長は300万円を取り、あとの700万円を慈善活動に寄付するなり、スタッフに配分してあげるなり、そんな考え方もできるのではないでしょうか」

 

その社長は黙って目をそらしていました。

利益に対して罪悪感があるのでしょうが、それ以上に、利益をあげられない経営をしている自分を、「お金のためではない」

というセリフで正当化しているだけのようにも見えました。

 

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「利益をあげられないこと」

のほうが、じつは問題です。

 

利益をあげられない状態とは

  • だれかが過剰に得をしている
  • 誰かが不当に損をしている

という状態のことを指すからです。

 

経済学の用語でいえば、

「不適正な配分」

になっています。

 

過剰に利益を追求する必要はありません。

しかし、「正当な利益を追求する」ことは、ビジネスをする人の義務であると思います。

それが、

「不当に損をする人(不幸な人)を作らない」

ための最善の方法だからです。