ハラル食は美味しくなりますか?

日本はいま、

「日本在住のイスラム教徒」

「訪日するイスラム教徒」

のために、ハラル食を提供する飲食店を増やそうと頑張っています。

 

ハラル食を認定する団体さんも、いくつか立ちあがっています。

 

 

しかしまだそれは

「イスラムの人のためのハラル食」

であり、

「日本人のためのハラル食」

にはなっていません。

 

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5年ほど前のこと、

「関西のとある大学の学食でハラル食が定番になっている」

という記事を発見しました。

新鮮な驚きでしたね。

 

その後、機会をみてその学食に忍び込み、食べてみましたが、味のほうは

「ふうん、まあ、こんなものか」

という感じでした。

 

でも、あのややこしいハラル食を、飲食業界に先駆けて学食がいち早く取り入れた、ということに価値があるのであり、味についてとやかく言うのは、あの時点ではお門違いだと言えるでしょう。

 

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しかし、味の進化は日進月歩。

昨年、ある方に教わって

「ハラル食のラーメン屋さん」

が東京にあるというので、食べにいったのですが、ちゃんと美味しかったです。

 

ハラル食の認定を取るのにどれだけ苦労したかを店長さんから聞くと、ますます美味しさがアップしました。

 

「近くに寄ったときには、ここで食べよう」

と思えるレベルになっています。

 

「ハラル食も、ここまで美味しくなったんだなあ」

と、しみじみ感じました。

 

おそらく前述の学食のハラル食も、あれから5年、美味しさが進化しているに違いありません。

 

ちなみに当然というか、そのラーメン屋さんはイスラムのお客さんの多い店です。

まるで

「中近東に旅行している途中、日本食が恋しくなり、ラーメン屋をみつけて入った自分」

的な雰囲気を楽しめましたね。

 

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前置きが長くなりましたが、ハラル食のアメリカでの市場規模をご存知でしょうか?

市場規模というのは、その業界の1年間の総売上のこと。

日本でのハラル食の市場規模は、1,000億円くらいと言われます。

(実感としては、まだそんなにないように個人的には思いますが)

 

アメリカではそれが、2兆円あります。

アメリカは日本より人口も多いし多民族国家でもあるので、2兆円くらいあるだろう、と思うのがふつうですが、2001年の同時多発テロ以降、アメリカにいるイスラム系の人々は気の毒にも肩身の狭い思いをしています。

それを考えると、2兆円もあるのがじつは不思議なんですよね。

イスラム系の人だけがハラル食を食べているとすると、2兆円にはとうてい、及ばないからです。

 

つまり、平均的なアメリカ人もハラル食を喜んで食べている、ということになります。

 

あるジャーナリストの分析では、

「イスラムが好きか嫌いかは、別として、ハラル食は好き。だって美味しいんだもん」

というアメリカ人が非常に多いということのようです。

 

たまに

「フランスという国は苦手だけどフランスワインは好き。だって美味しいからね」

という人がいたりしますが、それと似ています。

 

つまり、アメリカのハラル食は美味しさが進化し、国民に愛されるものになっている。

美味しいので、イスラムが好きか嫌いかは関係なく人々はそれを食べるわけです。

 

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かつて、フランスで料理を学んだアメリカ人シェフや料理家が、

「カリフォルニア料理」

という、新しい料理のカテゴリを創造しました。

(あのジュリア・チャイルドさんもその1人)

 

また、アメリカに入ってきたメキシコ料理は

、「Tex-Mex(テキサス風メキシコ料理)」

という新しい料理のカテゴリに変貌しています。

 

アメリカに入った日本料理にも、

「アメリカ的な日本料理」

に変化しているものも多い。

たとえばカリフォルニアロールはアメリカで発明され、日本に逆輸入されたものです。

 

このように、

「異国の料理を、自分の国が好むようにアレンジする」

という動きが増えれば増えるほどその料理は美味しくなります。

 

アメリカでのハラル食も、

「アメリカ人が好むようなアレンジ」

が進んでいるから、国民レベルで

「ハラル食が好き」

という評価になっているのでしょう。

 

アメリカで、ハラル食をヒットさせた有名なフードトラックがあります。

フードトラックとは、要するにお弁当などの移動販売店のこと。

「ハラル・ガイズ」

という会社がやっているフードトラックなのですが、このフードトラックが販売しているハラルのサンドイッチがやたらに美味しいということで、ニューヨークあたりから火がつき、

「ハラル食って、けっこう美味しいぞ」

とアメリカ人の認識を変えました。

 

ハラル・ガイズ

http://thehalalguys.com/

 

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さて、この話から何を言いたかったのかというと、日本はいま、

「日本在住のイスラム教徒」

「訪日するイスラム教徒」

のために、ハラル食を提供する飲食店を増やそうと頑張っています。

それはどれで大切なこと。

 

でも、本当はそれ以上に、

「日本人が喜ぶようなハラル食」

を考えたほうが、食文化の発展には良いんじゃないか、ということです。

 

料理教室のテーマにハラル食がもっと採用されたり

日本人のための美味しいハラル食のレシピがたくさん生まれてきたり

そうなるとよいですね。