脳活 x 食育

野菜を十分に食べることは健康に良いと言われています。

いっぽう、ジャンクフードは健康に良くないと言われています。

つまり、体に良い食べ物とそうでない食べ物があることになります。

 

規則正しく食事をとることは、健康に良いと言われています。

いっぽう、食事が不規則だったり深夜に食べたりすることは、健康に良くないと言われています。

つまり、体に良い食べかたとそうでない食べ方があることになります。

 

以上をまとめると

  • 体に良い食べ物
  • 体に良い食べ方

両方がある、というわけです。

 

さて、近年、「体に良い食べ物」「体に良い食べ方」の中でも、とくに体の一部である「脳」について、「脳」のために特に良いものがある、ということが分かってきました。

つまり、

  • 脳のために良い食べ物
  • 脳のために良い食べ方

がある、ということが明らかになってきたのです。

これを「ブレインフード」と言います。

 

ここでは、ブレインフードについてこれまで明らかになっていることを、解説します。

 

<目次>

  1. ブレインフードという考えの背景にあるものとは?
    1. 衛生要因と動機づけ要因
    2. 食事は衛生要因、それとも動機づけ要因?
    3. ブレインフードの位置づけ
  2. ブレインフードのはじまり
  3. どんなことが分かってきたのか?(ブレインフードの知識体系)
    1. 脳と糖質
    2. 脳と脂質
    3. 脳と抗酸化物質
    4. 血液脳関門
    5. ブレインフードに該当する食材
  4. 4.ブレインフードの実践
    1. 受験
    2. 認知症予防
    3. 仕事の能率向上
    4. メンタルヘルス
    5. 脳疾患予防
  5. 5.ブレインフードの未来
  6. 6.まとめ

 

脳に良い食べ物や食べ方のことを総称して「ブレインフード」と言いますが、ではそもそも、「脳に良い」というのは何がどのように「良い」のでしょうか?

 

「脳に良い」の「良い」という短い言葉が意味することは主に4つあります。

  • 頭がよく働く、理解力がある、記憶力がある、という「頭の良さ」
  • 集中力がある、気分が落ち込まない、イライラしない、などの「気分や感情の安定」
  • 若々しい脳を保つ、という「認知症予防」
  • 脳細胞を傷めたり傷つけたりしない、という「脳の疾患の予防」

これらはむろん相互に関連してはいますが、意味としてはそれぞれ独立しています。

 

脳を1台の自動車に大雑把にたとえると、上記の4つの要素は

  • エンジンが優れている(スピードが出る、加速がスムーズなど)
  • ハンドルやアクセル、ブレーキが優れている(運転しやすい)
  • オイル系統や電気系統、タイヤが優れている(故障しにくい、パンクしにくい)
  • ボディや窓ガラスが丈夫(人間が怪我をしにくい)

に、おそらく対応すると思われます。

 

ブレインフードは、これらの

「頭の働きの良さ」

「気分や感情の安定」

「認知症予防」

「脳の疾患の予防」

をひととおり含めた、広い概念となっています。


1.ブレインフードという考えの背景にあるものとは?

「衛生要因」「動機づけ要因」という言葉をご存知でしょうか。

もともとはマーケティングの用語ですが、ブレインフードを理解するにも便利な言葉です。

 

1-1.衛生要因と動機づけ要因

「できていて当たり前。できていてもプラスにならないが、できていないと大きなマイナスになる」

というものを「衛生要因」といいます。

 

たとえば飲食店のお手洗いは、清潔感があるのが当たり前ですね。

清潔感があっても特長にはなりません。

「当店はお手洗いが清潔です!」

とさかんにPRしても、客は増えません。

しかし、お手洗いに清潔感がない飲食店は、それだけで客が減ります(たまに例外もありますが)。

お手洗いが清潔かどうかは、「衛生要因」に該当します。

 

いっぽう、動機づけ要因とは、前述の衛生要因と違い、

「できていると、プラスになる」

というものを指します。

 

飲食店の例でいうと、

  • 料理が見た目にも美しい
  • 食材選びに工夫をしている
  • 雰囲気が良い

といったことは「動機づけ要因」になります。

 

1-2.食事は衛生要因、それとも動機づけ要因?

食料が不足している時代には、一部の権力者や富裕者を除き、人間にとって食事は「食べないと生きられない」ものでした。

食べたからといってより充実した人生が送れるとは限りませんが、食べなければ、命を失う。

食事は単に生き延びる手段、「衛生要因」だったわけです。

 

その後、文明の発展により食料不足が解消してくると、「美味しさを求めて食べる」「食の楽しみ」という側面が大きくなります。

かつては生き延びる手段だった食が、今度は楽しむ手段に変化します。

食事は「動機づけ要因」になりました。

 

さらにその後、「健康に良い食事、悪い食事」があることがだんだん分かってくるにつれ、食事に「美味しさ・楽しみ」に加えて「ヘルシー」という価値が加わります。

食事はますます「動機づけ要因」になっていきます。

 

しかし、そこで終わったわけではなく、近年さらなる変化が起こりつつあります。

「目的に合った食事」という新たな価値が誕生したのです。

  • ダイエット、という目的に合った食事
  • スポーツ、という目的に合った食事

といった食事のあり方が、話題になるようになってきました。

実際、「ダイエット 食」で検索すると、さまざまな食材、食事法が紹介されているのが分かりますし、「スポーツ」でいえば、いまやプロのアスリートやオリンピック選手の食事を専属の管理栄養士がサポートするのは当たり前になっています。

 

1-3.ブレインフードの位置づけ

「目的に合った食事」の登場は、食事の「動機づけ要因」としての性格をますます強めることになりました。

ブレインフードは、そうした「目的に合った食事」の1つとして考えられています。

すなわち、

  • 頭が良くなりたい、という目的
  • 気分を落ちつけたい、穏やかな気分でいたい、という目的
  • 認知症になりたくない、という目的
  • 脳の病気になりたくない、という目的

という目的に対し、

  • 何を食べたらよいのか
  • どう食べたらよいのか
  • どんな食生活を送るべきなのか

についての答を提供するのが、ブレインフードです。


2.ブレインフードのはじまり

人類がブレインフードという言葉を最初に使ったのはいつなのか、よく分かっていませんが、人々がこの言葉をよく口にするようになったのは、21世紀に入ってからです。

 

2003年に WHO(世界保健機関)が、

「食事の善し悪しで、人間の知的生産性は大きく違ってくる」

というレポートを出しています。

 

WHO はまた、人間の知的生産性を高める食材として

  • ナッツ類(クルミ、アーモンドなど)
  • チョコレート(カカオ)

の3つをノミネートしました。

いわば、「世界3大ブレインフード」というわけです。

 

その後、多くの科学者が「食と脳の関係」「栄養素と脳の関係」についてさかんに研究を始めます。

国家レベルでの研究も始まっており、たとえばアメリカの場合、

  • オバマ大統領の任期中に1億ドルを超える国家予算が脳の研究に投じられることになりましたが、そこにはブレインフードの研究も含まれています。
  • 国防省も「兵士のメンタルを強くする」目的でブレインフードの研究を独自に行っていると言われています。

2012年には、

「チョコレートを多く食べている国ほど、ノーベル賞受賞者が多い」

といった統計が発表され、話題になりました。


3.どんなことが分かってきたのか?(ブレインフードの知識体系)

ブレインフードの研究はまだ歴史が浅く、発展途上であるため、分かっていないことも多いのが現状です。

しかしこれまで分かってきたことを整理すると、大雑把に4つに分かれます。

 

3-1.脳と糖質

脳の大きさは体重の40分の1にすぎませんが、体が必要なエネルギーの5分の1を消費しています。

脳のエネルギーの源はブドウ糖です。

ならばブドウ糖のもとになるもの(糖質)をどんどん食べればよいのか、というとそうではなく、そんなことをすると食後血糖値が急上昇し、さまざまな健康被害につながることも判明しています。

もとには限度がある、適度がある、ということです。

 

3-2.脳と脂質

脳の半分以上は脂質でできています。

また、脳細胞は脂質の膜で覆われています。

この脂質がどんな脂肪酸で構成されているかにより、脳の機能が違うことが分かってきています。

好ましい脂肪酸の多い食事をすれば脳の機能は良好に保たれますが、好ましくない脂肪酸の多い食事をすれば、脳の機能は低下するというわけです。

 

3-3.脳と抗酸化物質

思考したり記憶したりすれば、脳は活発に活動しますが、その際に活性酸素(フリーラジカル)が大量に発生します。

活性酸素はそのまま放置すると脳細胞を傷つけるなど「悪事」を働きますので、ビタミンEなどの抗酸化物質によって活性酸素を退治する必要があります。

脳内に抗酸化物質が潤沢にあるかどうかは、食事により左右されます。

 

3-4.血液脳関門

脳内の毛細血管は、特定の物質しか通さない性質を持っています。

いわば、脳と体を結ぶ途中に「関所」があるようなものです。

これを「血液脳関門」と呼びますが、血液脳関門があるために、食事で取り入れた栄養素は必ずしも全部が脳に届くわけではありません。

血液脳関門の性質を理解したうえで、食事をする必要があることが徐々に理解されつようになりました。

 

3-5.ブレインフードに該当する食材

前述した

  • ナッツ類(クルミ、アーモンドなど)
  • チョコレート(カカオ)

は「3大ブレインフード」とも呼べるものですが、これ以外にも、

  • アボカド
  • カキ
  • タマゴ
  • セロリ
  • ビーツ
  • ウコン

などが人間の知的生産性を高めたり脳の健康維持に役立ったりする食材として、疫学研究(※)が進められています。


4.ブレインフードの実践

ブレインフードの知識は、以下のような分野での活用が期待されています。

 

4-1.受験

  • 受験生の保護者がブレインフードについて知ることで、家庭での食事を工夫することができます。
  • 学習塾などがブレインフードについて理解することで、たとえば受験生の夏合宿を行う場合に、合宿中の食事メニューにブレインフードを取り入れることができます。
  • 資格試験(司法試験など)にチャレンジしている受験生がブレインフードの知識を持つことにより、自分自身の食生活を変えることができます。

 

4-2.認知症予防

  • 家庭での日々の食事にブレインフードの知識を取り入れることで、認知症予防につなげることができます。
  • 介護施設などで提供される食事にブレインフードの知識を取り入れることで、認知症予防につなげることができます。

 

4-3.仕事の能率向上

  • 会社員がブレインフードについて知ることで、日々の食生活が変わり、(集中力を高めるなど)仕事の能率向上につなげることができます。
  • 社員食堂を持つ企業の場合、社員食堂のメニューにブレインフードを取り入れることが考えられます。
  • オフィス街の飲食店経営者がブレインフードについて学ぶことにより、ビジネスパーソンのためのブレインフード・メニューを考案することができます。

 

4-4.メンタルヘルス

  • カウンセラーなどがブレインフードについて知ることで、カウンセリングに加え食事のアドバイスもできるようになります。

 

4-5.脳疾患予防

  • 日々の食事にブレインフードの知識を取り入れることで、脳疾患予防につなげることができます。
  • 介護施設などで提供される食事にブレインフードの知識を取り入れることで、脳疾患予防につなげることができます。

5.ブレインフードの未来

ブレインフードの研究は始まったばかりとはいえ、今後ますます関心が高まることが予想されます。

 

現在のところは、「何を食べたらよいのか」についての研究が主に行われていますが、「いつ食べたらよいか」についての研究もこれから触れるでしょう。

「いつ食べたらよいか」の研究は「時間栄養学」とも呼ばれ、急速な発展が期待されている分野です。

 

また、ブレインフードを楽しむための食べ方(レシピなど)も今後はさまざまなものが提案されてくると思われます。

たとえば、アーモンドミルクにウコンのパウダーを混ぜた飲み物があります。

アーモンドもウコンもブレインフードであることから、健康志向の高いニューヨークの人々に愛飲されています。

黄色がとても鮮やかなため「ゴールデンミルク」という名前がついています。


6.まとめ

  • 脳のために良い食べ物
  • 脳のために良い食べ方

この2つをあわせて「ブレインフード」と言います。

 

「目的に合った食事」に関心を持つ人が増えていることから、ブレインフードの研究も急速に進められています。

 

  • ナッツ類(クルミ、アーモンドなど)
  • チョコレート(カカオ)

が「3大ブレインフード」と言われていますが、ブレインフードに該当する食材はほかにもいろいろあります。

 

ブレインフードは

  • 受験
  • 認知症予防
  • 仕事の能率向上
  • メンタルヘルス
  • 脳疾患の予防

への活用が期待されています。

 

(※)疫学研究:おおぜいの人間(=集団)を対象に、食と健康の関係などを調べること

 

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