
「食育」というと
- 自治体などが行っている活動
- NPOやボランティア団体などが行っている活動
をイメージすることが多いと思われます。
いずれも、
「人の役には立つけれども、お金(経済活動)にはなりにくい」
とされています。
わたしたちは食育のそういうところを変えたいと願っています。
では、どう変えていくのが良いのでしょうか?
その答に近づくために、食育の歴史と未来を考えてみましょう。
<目次>
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食育の歴史
食育活動にも歴史というものがあります。
食育という言葉は、明治のころから存在していましたが、一般的に知られることはありませんでした。
この言葉が市民権を持つようになったのは、かなり最近のことです。
その意味では食育活動の歴史はまだ浅いのですが、それでも、大きく4つの期間に分類することができます。
黎明期、誕生期、発育期、自立期という4つの期間です。
1-1.黎明期
2005年以前が、黎明期とされています。
前述したように「食育」という言葉じたいは明治のころにすでに存在していました。
石塚左玄、村井弦齋という明治時代の人が使い始めたとされています。
「帝国食育会」という食育団体もあったそうですが、その活動は長くは続かなかったようです。
いずれにせよ、「食育」は一般的な言葉ではありませんでした。
現在では「食育に該当する」と思われる活動でも、2005年以前は「栄養教育」「しつけ」「食文化活動」といった、異なる言葉で語られていました。
1-2.誕生期
2006年〜2009年の期間を指します。
2006年に食育基本法が施行されたことが1つのきっかけとなり、「食育」という言葉が広がりはじめます。
この時期の食育活動は
「食育とは、そもそも何なのか」
を伝えることを目的としたものでした。
「食育講座」と呼ばれる講座があちこちで開催されましたし、食育の民間資格を提供する協会のような団体も数多く誕生しています。
1-3.発育期
2010年〜2017年のことを指します。
「食育」という言葉が一般に普及するにつれ、「食育とは、そもそも何なのか」を伝える活動は下火になります。
その代わり、食育活動の内容が多様化していきました。
「スポーツのための食育」「幼稚園児のための食育」「シニアのための食育」など、さまざまな食育活動がこの時期に誕生しています。
この時期の食育活動には、
- 自治体や政府などによる助成のあるもの
- 企業がCSRやイメージ向上のために資金などを提供するもの
が多くみられます。
つまり、たとえ活動自体は赤字でも、公的資金や企業の支援で活動を継続することができた時期です。
1-4.自立期
2018年〜現在までの時期を指します。
さまざまな食育活動が誕生するという傾向は、今でも続いています。
しかし、第2期でみられたような自治体や企業からの助成は減り、活動自体の経済性が問われるようになりました。
すなわち、経済的に成り立ちにくいもの(事業化しにくいもの、赤字になるもの)は淘汰され、事業として継続できるもの(黒字になるもの)が残るようになっています。
2.食育の未来

食育活動は、食を通じて人々を幸せにするという意味で、「社会貢献」そのものです。
しかし、そうはいっても、経済的に成り立ちにくいものは淘汰される時代になりました。
それだけではありません。
活動じたいが面白く、話題性や新奇性があり、関わる人のモチベーションが上がる…といった要素も求められています。
すなわち、これからの食育活動に期待されているのは、
- 社会の役に立つ
- 経済的に成り立つ
- 面白くて話題性・新奇性がある
この3要素だと考えられます。
2-1.社会の役に立つ
食育活動の結果、もたらされるもの(効果と言ってもよいでしょう)には、いろいろあります。
(例)
- 健康意識が高まる
- 農業への関心が高まる
- 食文化を守ろうという気持ちが高まる
こうしたことはすべて「社会貢献」になります。
2-2.経済的に成り立つ
「歴史」のところで述べたように、かつての食育活動は
- 自治体や政府などによる助成のあるもの
- 企業がCSRやイメージ向上のために資金などを提供するもの
が多くみられました。
たとえ活動自体は赤字でも、公的資金や企業の支援で活動を継続することができた時期があったのです。
しかしそうした時期は過ぎています。
これからの食育活動には、活動の規模の大小にかかわらず、活動に必要な資金をその活動から生み出すこと、すなわち事業として成立することが期待されています。
2-3.面白くて話題性・新奇性がある
どのような食育活動をするにせよ、それがうまくいくためには「人が集まる」ことが重要になります。
- 講座であれば「受講者が集まる」。
- イベントであれば「参加者が集まる」。
人が集まるためには、その講座なりイベントなりの企画に魅力がなくてはなりません。
ではその魅力はどこから生まれるかというと、「面白さ」「話題性」「新規性」から生まれてきます。
過去の食育活動は「正しいこと」をしていればよかったのですが、現在およびこれからの食育活動は「面白さ」「話題性」「新規性」を出していくことで存続していきます。
3.まとめ
食育の歴史は
- 黎明期
- 誕生期
- 発育期
- 自立期
の4期に分解して考えると理解しやすくなります。
未来すなわちこれからの食育活動に期待されているのは、
- 社会の役に立つ
- 経済的に成り立つ
- 面白くて話題性・新奇性がある
この3要素だと考えられます。
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