大人の食育

食育というと、

「箸の正しい使い方」

「いただきますを言おうという話」

「好き嫌いなく食べようという話」

のようなものと受け止められ、子どもが対象のものと見なされがちです。

 

しかし食育の対象は子どもだけではありません。

食育は大人にとっても重要です。

食育活動をしている人の多くも、そう考えているはずです。

 

今回は、大人の食育について考察してみます。

 

<目次>

  1. 大人の食育とは
  2. 大人の食育がこれから有望である理由
    1. 大人向けは「手薄」である
    2. 大人向けのほうが市場規模が大きい
  3. 大人の食育の課題と解決法
    1. タイミングをとらえる
    2. 場所をとらえる
  4. まとめ

 


1.大人の食育とは

「生涯教育」という言葉があります。

人間は一生を通じて学び続ける存在だという考え方を表す言葉です。

学校教育にかぎらず、社会に出て働いているときも、あるいは家庭においても、また引退していわゆる「シニア」になった後も、新しいものを学び続け、自らを高めることには意義があると考えられています。

 

食育も同様です。

子ども時代に食育を学ぶだけにかぎらず、社会に出て働いているときも、あるいは家庭においても、また引退していわゆる「シニア」になった後も、食に関する興味を持ち続け、食の知識を学び続けることには意義があります。

なぜなら1つにはそれが健康な食生活につながるからであり、1つには食品ロスなどの社会問題の解決につながるからであり、また1つにはーーこれが最も大切と思われますがーー、食には生涯をつうじて学び続けるほどの「量(奥の深さ)」と「質(面白さ)」があるからです。

 

食育を「生涯食育」ととらえた場合、大人の食育とは、学校を卒業した後も一生涯学び続ける食の学習を指します。


2.大人の食育がこれから有望である理由

大人の食育がこれから有望である理由は2つあります。

1つは大人向けの食育は「手薄」であるということ、もう1つは大人向けのほうが市場規模が大きいとうことです。

 

2-1.大人向けは「手薄」である

食育基本法に定められているとおり、政府や自治体は食育活動に一定の予算を組むことが義務づけられています。

こうした予算は、たとえば幼稚園や保育所での食育、学校での食育などに使われています。

すなわち、食育の公的な予算は、子ども向けの食育に配分されることが多いと言えます。

 

いっぽう、そうした予算が大人向けの食育に使われることはあまりありません。

政府や自治体が大人向けの食育を軽視しているわけではありませんが、子ども向けの場合は教育現場という「効率よく食育活動を行う機会」が存在するのに対し、大人向けの場合はそのような機会を作り出すのが困難なのです。

そのため、子ども向けの食育に比べ、大人向けの食育は「手薄」だと言えます。

 

手薄であるがゆえに、これから取り組む食育活動の対象としては有望であるといえます。

大人の食育に公的な予算が投入されることは今後もあまり多くないと考えられますが、その分、民間の立場での食育の専門家が活躍しやすくなります。

 

2-2.大人向けのほうが市場規模が大きい

ここでいう「市場規模」とは、「人口(人数)」のことを指します。

 

あえて単純な言い方をすれば、大人の人数は子どもの人数を大きく上回ります。

2017年10月時点での日本の人口は

  • 20歳未満:約2千万人
  • 20歳以上:約1億人

となっています。

20歳という線引きで大人と子どもを分けたとき、大人の人数は、子どもの人数の5倍に達します。

 

日本の人口は減少傾向にあり、したがって市場規模じたいも減少します。

しかし減少のおもな原因は少子化にありますので、実際に減少するのは子どもの人数であり、大人の人数は比較的ゆっくりと減少すると考えられます。


3.大人の食育の課題と解決法

前述したように、子ども向けの場合は教育現場という「効率よく食育活動を行う機会」が存在するのに対し、大人向けの場合はそのような機会を作り出すのが困難です。

そのため、大人の食育に公的な予算が使われることはあまりありません。

 

だからこそ、大人の食育は民間にとって有望な分野なのですが、「効率よく食育活動を行う機会」を作り出すのが難しいという課題は、民間にとっても同じです。

ここをなんとかして突破しなければなりません。

 

「効率よく食育活動を行う機会」とは、要するに「人が集まる機会」のことです。

学校現場など、すでに子どもたちがある意味「強制的に集まっている」場所で食育活動を行うのは比較的容易です。

しかし大人の食育の場合、「強制的に集まっている」状態を期待するのは無理ですので、人を集めるための方策を真剣に考える必要があります。

 

3-1.タイミングをとらえる

人には、人生のなかで「食の大切さ」を強く意識するタイミングがあります。

  • 身近な人が病気になったとき
  • 妊娠・出産・子育てのとき
  • ダイエットやスポーツに取り組み始めたとき

などです。

 

そのようなタイミングにある人を対象に、食育活動を行うという方法が考えられます。

 

3-2.場所をとらえる

学校現場のように「強制的に集まっている」場所が、大人の場合に存在しないか、検討してみましょう。

たとえば会社のオフィスなどはどうでしょうか。

 

会社のオフィスの場合、そこで働く人々に対する食育活動を、経営者の賛同を得て行うという方法が考えられます(※)。


4.まとめ

大人の食育とは、生涯学習の考え方を食育に応用したものです。

大人の食育に対して公的資金の配分が手薄であること、大人の食育のほうが市場規模が大きいこと、この2つの理由により、大人の食育は民間にとって有望な分野であると言えます。

大人の食育を効果的に実施するには、タイミングをとらえる、場所をとらえるなどの工夫が求められます。

 

(※)参考「健康経営 x 食育」


(合格者全員に進呈)

「食育活動スタートアップガイド(PDF)」