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コンサルタント x 食育

世間では「食育、食育」とよく言われるが、いったい何をしたらいいの?

個人でもこうした疑問をもつ人がいますし、企業でも「食育を導入したい」と考えているところが少なくありません。

 

この問いに答え、適切な提案を出せる人が

「食育のコンサルタント」

です。

ここでは、どうしたら「食育のコンサルタント」になれるのか、について述べます。

<目次>

  1. 「食」のコンサルタントと「食育」のコンサルタントとの違い
    1. 「食」のコンサルタント
    2. 「食育」のコンサルタント
  2. 「食育のプレーヤー」と「食育のコンサルタント」との違い
    1. クライアントの役に立つ企画立案
    2. 講師などができる人との人脈
  3. まとめ

「食育のコンサルタント」とは何かについてはっきりさせておきましょう。

それには、

  • 「食」のコンサルタントと「食育」のコンサルタントは違う
  • 「食育のプレーヤー」と「食育のコンサルタント」は違う

この2つを理解すると分かりやすいです。

1.「食」のコンサルタントと「食育」のコンサルタントとの違い

1-1.「食」のコンサルタント

「食」のコンサルタントは、外食産業、食品産業、小売産業に昔から存在するコンサルタントです。

すなわち

  • レストラン
  • 食品メーカー
  • スーパーマーケット

などを主なクライアントとし、主にマーケティングの助言をします。

 

「メニューを提案する」

「商品の開発プランを提案する」

「接客の研修を行う」

といったところが仕事です。

 

そのほか、人数は少ないですが、食品の表示ラベルが法律違反にならないように、その正しい書き方をサポートするコンサルタントもいます。

 

1-2.「食育」のコンサルタント

「食育」のコンサルタントには、主に3つの種類があります。

  • 自治体に助言するコンサルタント
  • 学校や幼稚園などに助言をするコンサルタント
  • 会社の食育をプランニングするコンサルタント

この3つです。

 

<1-2-1.自治体に助言するコンサルタント>

2005年に食育基本法ができましたが、この法律により、国だけではなく自治体も食育に取り組むことが義務化されました。

そのため、各地の自治体は当時、大慌てで食育に取り組みはじめたわけですが、

「いったい何をしたらいいのか?」

分からずに戸惑う自治体も多く、そういう自治体に対して食育への取り組み方法を助言するコンサルタントが求められました。

 

ここで注意が必要なのですが、

「自治体が開催する住民向けの食育講座などで講師をする人」

「自治体が開催する親子料理教室などで先生をする人」

こうした人たちは、コンサルタントではありません。

そうではなく、

  • 「食育への取り組み方法」のプランニング(施策立案)

をするのがコンサルタントです。

食育講座や料理教室の計画を立て、それを自治体に提案するのがコンサルタントの仕事になります。

その計画を自治体が採用します。

そのうえで、コンサルタントは、知り合いの”食育活動家”(管理栄養士や野菜ソムリエなどが多い)に声をかけ、その方々に

「自治体が開催する住民向けの食育講座など」

で講師をしてもらいます。

 

講師が「プレイヤー」だとすれば、コンサルタントは「コーディネーター」ということです。

「オーガナイザー」「プロデューサー」という言いかたでもよいでしょう。

 

さすがに食育基本法の制定から10年もたつと、

「食育に取り組めといっても、いったい何をしたらいいのか?」

という需要はほぼ一巡しています。

ですので、今はこういう自治体むけコンサルタントは数が減っています。

 

<1-2-2.学校や幼稚園などに助言をするコンサルタント>

少子化が進むなか、とくに私立の学校や幼稚園などは新入生の獲得に必死になっています。

そんな学校や幼稚園にとって「食育」は差別化手段の1つになりつつあります。

そこで、かつて自治体に助言していた人が今度は学校や幼稚園に対して

「食育をどのように導入するか」

について助言をしたりします。

 

この場合も、

「学校や幼稚園が主催する食育講座や野菜の収穫体験会などで、現場の講師を担当する人」

はコンサルタントではありません。

「食育を教育サービスとして導入する方法」

をプランニング(施策立案)するのがコンサルタントです。

 

<1-2-3.会社の食育をプランニングするコンサルタント>

会社のオフィスに出向き、サラリーマンの食育(大人の食育)をプランニングするというコンサルタントのあり方です。

「わが社の社員を食育してほしい」という会社が顧客になります。

昔はそんな要望を持つ会社などなかったのですが、近年になって増えてきました。

「疲れ気味の社員が多い」

「うつ気味の社員が増えてきた」

といった問題を、食の面から解決できないか、というものです。

 

深夜に食事をするのをやめる、麺類ばかりの昼食を改める、など、社員の食生活が改善すれば、

  • 体が元気になる
  • 気分も改善(メンタルヘルス)

といった変化が期待できるので、会社の経営者からみると、社員の食生活が「健康化」すれば、自社の業績改善の一因にもなるかもしれない。

だから「わが社の社員を食育してほしい」という話が出てきます(※)。

 

 

そこで、コンサルタントとしては

「会社が社員のために食育を導入するにあたり、何をどのように進めていけばよいのか」

を顧客(会社経営者)のためにプランニングします。

 

この場合も、

「社内で開催される食育講座で実際に講師を担当する人」

はコンサルタントではありません。

「その会社に適した形での食育企画」

をプランニング(施策立案)するのがコンサルタントです。

2.「食育のプレーヤー」と「食育のコンサルタント」との違い

では

「食育のコンサルタントになるにはどうしたらよいか?」

という話に戻ります。

先ほどから何度か強調しているのですでにお分かりと思いますが、

「食育の現場で講師を担当する人」

は「プレーヤー」ではありますが、「コンサルタント」ではありません。

「プレーヤー兼コンサルタント」

という人も少なからずいますが、本来、両者は異なる機能です。

 

「食育」のコンサルタントは

  • 企画立案の機能
  • 講師などの人材をアレンジする機能

を持つ存在だということです。

なおかつ、それをクライアントの利益(顧客が増える、売上が伸びる、社員のモチベーションが上がるなど)につながる形で提案します。

 

ということは、「食育」のコンサルタントになるには

  • クライアントの役に立つ企画立案ができる
  • 講師などができる人との人脈がある

この2つができるとよいわけです。

この2つを、もう少し深く堀り下げてみましょう。

 

2-1.クライアントの役に立つ企画立案

食育を導入する際、

「わが校の食育は、他校と違う」

「わが社の食育は、他社と違う」

今のところ、経営者の多くは、これを望みます。

「よそと同じでよいから、食育さえ導入できていればそれでよい」

と考える経営者はほとんどいません。

つまり企画を提案するにも「独自性」「ユニークさ」が期待されます。

なぜなら、

「ちょっと変わったことをしているというアピールをしたい」

からです。

 

10年前、世の中はまだ

「食育って、なに?」

という時代でしたが、その頃は

「食育をしている」

という事実そのものが、ある程度のアピールに使われました。

「独自性」「ユニークさ」はとくに求められていませんでした。

逆に、将来、

「食育があたりまえに普及し、ほとんどの企業が食育を導入済み、珍しくもなんともない」

という時代になれば、いまさら

「食育をわが社のアピールに使おう」

と考える企業はいなくなるでしょう。

かつて「ITを導入している」ことが企業アピールに使われて時代がありましたが、いまでは「ITを導入している」ことは何のアピールにもなりませんね。

それと同じです。

 

しかし IT と違い、食育については現在はまだ過渡期。

食育はすでに新しいものでもなく、言葉としては誰もが知っており、かといって企業社会にはまだまだ食育が定着していません。

そんな時代環境のもとでは、

「食育を導入している」

はべつにアピールにはなりませんが、

「変わったやり方で食育をしている」

は、アピールになります。

(少なくとも、アピールしたいと経営者は思います)

したがって、

「今までにない食育の企画」

「他社がやっていない食育の企画」

が求められるわけです。

 

2-2.講師などができる人との人脈

食育の企画の1つとして、何らかの「講座」が開かれることはよくあります。

食育のコンサルタントとしては、

「講座の内容に応じて、適した人を講師として配置する」

という人脈提供機能が期待されます。

「自分で企画し、自分で講師をする」というのも無論「あり」ですが、できれば自分自身はコンサルタントの役割に徹し、自分以外の人に「講師として登壇する機会」を提供するほうがよいです。

そのほうが、仕事の幅が広がります。

 

さて、食育の講師を選ぶ場合のポイントですが、

「大学のエライ先生に専門的な話をしてもらう」

ということはまずありません。

かといって、今さら新しくもない、誰でも知っているような話題だけで終始するわけにもいきません。

身近な話題も話せるし、ちょっと専門的な難しめの題材やなかなか聞けない新しい話なども分かりやすく話せる人を、講師として選ぶのが適切でしょう。

「食育」のコンサルタントとしてはそういう「適切な(ちょうどよい)講師」の人脈を作っておくのが良いです。

例をあげると

  • 管理栄養士のかた
  • 食や食育の資格を持つかた
  • よく勉強している料理の先生

といったところです。

 

また、そういう方々ひとりひとりの得意分野を把握しておき、

「この講座ならあの人に頼もう」

「この講座にはあの人が向いている」

といったジャッジをします。

単に食育の講師といっても、

  • 栄養系の話が向いている人
  • 料理系の話が向いている人
  • 農業系の話が向いている人

など、人それぞれです。

適材適所ができるように準備しておきましょう。

3.まとめ

まず、

  • 「食」のコンサルタント
  • 「食育」のコンサルタント

この両者は違います。

  • 「食」のコンサルタント→マーケティングの助言
  • 「食育」のコンサルタント→食育への関わり方の助言

という違いがあります。

 

次に、食育のコンサルタントになるには

  • ユニークな企画を提案する力
  • 適材適所に講師を配置できる人脈

があるとよいです。


(※)この場合の「食育」は、「健康経営」「健康投資」と呼ばれるものの一部です。「自分の健康管理は自分でするもの」という考え方が昔は一般的でしたが、今は、「社員の健康管理を会社も支援する」という考え方に変わりつつあり、このことを「健康経営」「健康投資」と言います。国(経済産業省)もこの動きを積極的に推進しています。