展示会 x 食育

食に興味をもち、もっといろいろなことを知りたいと思ったら、展示会に出向いて情報収集するという方法があります。

なぜなら、展示会では

  • まだ店頭に出ていない新しい食品
  • まだ注目されていない新しい食べかたの提案

などを見ることができるからです。

つまり、トレンドが分かります。

 

ここでは、

  • 食の展示会にはどんなものがあるのか
  • 展示会での情報収集のしかた(楽しみかた)

について解説します。

 

<目次>

  1. 食の展示会の種類
    1. 日本国内の主な展示会
    2. 海外のおすすめ展示会
  2. 展示会での情報収集
    1. 開催情報の調べかた
    2. 訪問時の注意事項
    3. 効果的な情報収集法
  3. まとめ

 

食の展示会は世界中で開催されています。

たとえば、2015年にイタリアのミラノで開かれた万国博覧会。

これも展示会の一種ですが、ここで日本食がたいへん注目されたことはメディアでも盛んに報道されていましたので、記憶に新しいことでしょう。

日本パビリオンは人気のためなかなか入場できず、ピーク時には行列が数時間待ちという状況だったようです。

「それほど待つのだったら、日本へ行けてしまう」

という冗談も飛び交ったほど。

 

 

1.食の展示会の種類

しかし、このミラノ博は、日本でいう「大阪万博」、「愛・地球博(名古屋)」、「科学万博(つくば)」などと同じく、1度きりのものであり、残念ながら定期開催されるものではありません。

「また行こうね」

「今年は行けなかったけど、来年は行こう」

というわけにいかないものです。

つまり、一過性のものとなります。

 

いっぽう、毎年だいたい同じ時期に開催されている展示会もあります。

こうした定期開催が基本となっている食の展示会は、毎年行われますので、もし毎年視察することができれば、「トレンドの定点観測」をすることができます。

「去年はああだったけど、今年はこうだった」

という、比較ができるところが情報収集に有利です。

 

ここでは、そうした、定期開催が基本となっている食の展示会を、

  • 日本国内
  • 海外

に分けて、紹介します。

 

1-1.日本国内の主な展示会

食文化の豊かな国、日本。

日本では大小さまざまな食の展示会が開かれています。

このうち、規模の大きなものを列挙します。

 

<1-1-1.フーデックス・ジャパン(国際食品・飲料展)>

  • 開催時期:毎年3月ごろ
  • 開催場所:千葉県(幕張メッセ)

日本最大の食の展示会です。

出展は国内・海外あわせて3000社を超えます。

海外からの出展社が半分以上を占めるという国際色豊かな展示会であり、世界の食のトレンドを見ることができます。

ここで見かけた商品が、後日、日本のデパートやグルメショップなどで販売されているのを発見したときは、感慨深いものを覚えます。

人によっては「自社で扱えばよかった」と悔しい気持ちになることもあるかもしれません。

 

<1-1-2.オーガニックフードEXPO>

  • 開催時期:2020年は4月開催予定
  • 開催場所:東京(東京ビッグサイト)

文字通り「オーガニック」「有機」の食品が集まる展示会です。

 

 

<1-1-3.アグリフードEXPO>

  • 開催場所:大阪および東京
  • 開催時期:冬(大阪)、夏(東京)

「食農」をテーマとする、国内のこだわり農産物や農産加工品の展示会です。

 

<1-1-4.メディケアフーズ展>

  • 開催時期:毎年1月~2月
  • 開催場所:東京(東京ビッグサイト)

高齢者食、介護食(および病院食)の最新状況が分かる展示会です。

社会の高齢化が進むのにともない、高齢者食、介護食の市場は急拡大しており、メディケアフーズ展の規模も年々大きくなっています。

 

<1-1-5.食品開発展>

  • 開催時期:毎年秋
  • 開催場所:東京(東京ビッグサイト)

「加工食品の商品開発」をテーマにした展示会です。

  • ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル、アミノ酸など、「機能性素材」と呼ばれるもの
  • 果実、野菜、穀類、ハーブ、スパイスなど、「天然原材料」と呼ばれるもの
  • 調味料、甘味料、フレーバー、食品色素など、「食品添加物」と呼ばれるもの

などを見ることができます。

そのほか、数多くの健康食品の受託製造企業(「OEM」と呼ばれます)がブースを出しています。

 

<1-1-6.全国菓子大博覧会>

  • 開催時期:おおよそ4年に1度、開催されます。
  • 開催場所:各都市回り持ちとなっています。

和菓子をはじめ、洋菓子、スナックなども集まる日本最大の菓子の祭典。

100年以上の歴史を誇ります。

 

<1-1-7.西日本食品産業創造展>

  • 開催時期:毎年5月ごろ
  • 開催場所:福岡(マリンメッセ福岡)

アジアに近いという九州の地理的特徴も反映し、アジアからの来訪者・出展社も多く、アジアからの食品や、アジアむけの食品をたくさん見ることができます。

 

1-2.海外のおすすめ展示会

海外でもさまざまな展示会が開催されています。

中には日本からわざわざ専門ツアーで訪れるビジネスマンがいるほどの情報豊かな展示会もあります。

主なものを以下に挙げておきます。

 

<1-2-1.ANUGA(アヌーガ世界食品メッセ)>

ドイツのケルンで2年に1度、秋に開かれる、世界最大の食の展示会です。

1919年に創設という、長い歴史を持ちます。

全世界からの出展が7000社近いというのですから、日本最大の食の展示会(フーデックス・ジャパン)の倍の規模があることになります。

 

<1-2-2.Fruits Logistica(国際果実・野菜マーケティング専門見本市)>

こちらはドイツのベルリンで毎年開かれています。

世界各地からの珍しい果物や野菜が展示されるだけでなく、

  • 果物や野菜の栽培に関する商品
  • 運搬、鮮度管理、包装の技術

なども含めた、果物と野菜に関わる広い範囲の商品の見本市です。

なお、ベルリンでの開催が定着していることを受け、2007年からはアジアでも開催されています(第1回はバンコク、第2回以降は香港)。

 

<1-2-3.Natural Products Expo(自然食品展)>

「ナチュラル」、「オーガニック」、「健康 & エコ」といったテーマの展示会としては、おそらく世界最大規模です。

毎年春と秋(つまり年2回)アメリカで開かれます。

春は西海岸(主にアナハイム)、秋は東海岸で行われています。


2.展示会での情報収集

以上、国内および海外のおもな食の展示会を紹介しました。

 

食の展示会は、そのほとんどが B2B(企業間取引)の活性化を主旨としています。

つまり、商材を探す人と商材を持っている人が、出会い、商談するマッチングの場としての役割が中心です。

したがって、一般の消費者が「お祭りにでかけてつまみ食いを楽しむ」といった感覚で来訪するのは、主催者側からは歓迎されません。

 

しかし、仕事として食に関わっている人が、真面目な情報収集を目的として来場することは許されています。

「仕事として食に関わっている」といっても、必ずしも食品会社などの社員である必要はありません。

たとえば食の資格を持っているフリーランスの人が、自分の食育活動に活かすために来訪するのであれば、とくに問題なく、堂々と入場できます。

 

以下では、情報収集目的でこうした展示会を訪れる場合のポイントについて述べます。

 

2-1.開催情報の調べかた

食の展示会は「イベント」であり、年中オープンしている店舗のようなものではありません。

ぶらりと出向けばそこにある、というものではないということです。

したがって、まずは事前に開催日程と開催場所を確認することになります。

確認する方法は主に2つあります。

 

<2-1-1.イベント施設のウェブサイトをチェックする>

幕張メッセ、東京ビッグサイトといった大きなイベント施設では、むこう数か月のイベント情報を公式ウェブサイトで発表しています。

定期的にこれを閲覧すれば、予定を把握することができます。

 

<2-1-2.情報サイトをチェックする>

食の展示会がいつ、どこで行われるかを整理しているウェブサイトがあります。

代表的なものとしては、

といったサイトがあります。

 

2-2.訪問時の注意事項

気をつけるとよいことが3つあります。

 

<2-2-1.入場料に注意>

食の展示会には、入場料が有料のものと無料のものがあります。

有料のものでも、「事前登録」をすると料金が割引になったり、無料になったりする場合があります。

 

<2-2-2.入場券の有無に注意>

入場料がかかる・かからないとは別に、そもそも個人が入場できない展示会もあり、その場合は事前に入場券を入手しておかないと、入れません。

この場合の入場券は、一般の人は入手できないことが多く、「出展している企業からもらう」という方法がふつうです。

 

<2-2-3.名刺>

ほとんどの食の展示会では、入場の際、名刺の提出が求められます。

通常は2枚求められ、1枚は主催者が名簿作りのために保管し、もう1枚は来場者本人が入場券と一緒に首からぶら下げることになります。

前述したように、食の展示会のほとんどは B2B(企業間取引)が主旨であり、一般の消費者は対象になっていませんが、多少でも仕事として食に関わっている人であれば、情報収集目的の訪問が可能です。

したがって「多少でも仕事として食に関わっている」ことが読みとれるような名刺を用意しておく必要があります。

 

2-3.効果的な情報収集法

食の展示会の多くは B2B(企業間取引)が主旨のイベントではありますが、ビジネスパーソンむけの「お祭り」的な要素もあります。

実際、いったん会場に入れば、そこは神社のお祭りで屋台が並び人がぞろぞろ歩いているのと同じような雰囲気で、人々が行きかい、ブース側は試食をさかんにすすめてきます。

うかうかしていると「試食ばかりして終わった(それはそれで美味しかったけど…)」ということになりかねません。

そこで、せっかくの機会を活用する方法をいくつか、提案します。

 

<2-3-1.名刺交換の機会を逃さない>

食の展示会に出展する側(出展社)は、直接的には販売先を探しています。

でも、それだけではなく、もしあなたがたとえば管理栄養士や野菜ソムリエのような食の資格を持って活動している人であれば、出展社のためにレシピを考案したり、知り合いの販売先とつないであげたりなど、間接的なサポートができるでしょう。

出展社もその価値や意義は理解できますので、あなたの名刺がたとえ食品会社やデパートやスーパーの名刺でないとしても、名刺交換にが意味があります。

したがって、興味のある出展社と出会ったときは、名刺交換を積極的に行うようにしましょう。

 

<2-3-2.セミナーに参加してみる>

食の展示会では、セミナーがよく開催されます。

有料のものもあれば無料のものもあり、同じ内容のものが1日に何度も繰り返されるようなスタイルのものもあります。

そうしたセミナーでは、食の業界にいる人が興味を持つテーマが扱われます。

 

<2-3-3.海外ブースに行く>

日本国内の食のトレンドはメディアで取り上げられることも多いため、普段からアンテナを立てている人にとっては、展示会の国内ブースで目新しいものを発見することはあまりありません。

目新しいものは、むしろ海外ブースのほうで見つかりやすいものです。

たとえばこれまで見たことのない果物、これまで味わったことのないコーヒーなどを、海外ブースで見かけることがあります。

したがって、トレンドをもっと知りたいという意図で展示会を訪問するなら、海外ブースを回って見ることをお勧めします。

むろん、国内ブースを回る必要がない、ということではありません。

美味しいものを見つけたいと思えば、おそらく国内ブースのほうが美味しいものが見つかりやすいでしょう。

(美味しさはともかく)目新しいものを見つけたいとしたら、海外ブースのほうが見つかりやすい。

そのような「使い分け」をするとよいですね。


3.まとめ

日本でも海外でも、定期開催されている食の展示会がいくつもあります。

食のトレンドをチェックしたり、面白い食品を見つけたりするのに、よい場所です。

そのような展示会の多くはビジネスを主旨としたものではありますが、なんらかの形で食の仕事に関わる人であれば、情報収集のために訪問することは問題ありません。

展示会に入場したら、名刺交換をしたり、セミナーに参加したり、海外情報を仕入れるなど、活用してみましょう。


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